改正前後のA市の基準をもとに、中学校教員が休日に部活動を指導した場合の時間とその時給との関係を計算した結果が下のグラフです。 |
改正前は、4時間指導したときにピークがきていて、休日に部活をやるなら少なくとも4時間は頑張りましょうという誘導になっていたと考えられます。改正後はピークが3時間のところに来ましたので改善とは言えますが、それでも、少なくとも3時間は頑張りましょうという誘導としてはたらくことは否めません。
「2時間やって350円もらうよりは、あと1時間頑張って2,700円もらおうか」と考えるのはとても自然なことです。 |
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このような支給基準は、ガイドラインの「休日の部活動は長くても3時間程度」という規定とやや矛盾しているように思えます。さらに、家事・育児・介護・その他の事情で「2時間くらいなら何とかなるけど3時間はちょっときつい」という教員にとっては、では時給175円で我慢しなさいと言われていることになります。これは働き方改革の目標である「公正な待遇の確保」や「多様で柔軟な働き方の実現」という精神にも、矛盾しているように思えます。ここまでA市の例を見てきましたが、どこの都道府県や指定都市も同じような支給基準となっているようです。
そこで、だんざ出版からの提案です。勤務時間外における部活動指導手当の支給基準を次のようにしてはいかがでしょうか。 |
休日、平日に関わらず、勤務時間外における部活動指導手当の支給基準を次とおりとする。
30分ごとに450円を支給する。
ただし、30分に満たない時間は切り捨てる。
また、3時間を超えた場合は、2,700円とする。 |
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この支給基準での時給を改正後のA市と比較すると右のグラフのようになります。
30分未満を切り捨てるという部分に不満を感じる方もおられるかも知れませんが、これ以上小刻みな支給というのも事務手続き上煩雑かと考えられますので、我慢してください。
このような支給基準にすれば、30分以上3時間までは同じ時給となり、さまざまな事情で短時間しか部活動ができない教員も、平等な待遇を受けられます。また、無理に上限の3時間まで頑張ろうとする気持ちが消えて、結果として部活動による時間外勤務が短くなる効果が期待できます。 |
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国が「休日3時間程度 2,700円」という基準を定めているのに30分刻みの基準を作るなど許されるのか、という心配をする方もおられるかも知れませんが、国は「運動部活動総合ガイドラインの取組の徹底について」の5で「部活動指導手当の支給基準の時間の区分も見直すなど,柔軟に対応願います」と述べていて、心配はありません。
上に提案したような支給基準とした場合に、部活動による時間外勤務がどの程度減少するのか、あるいは増加するのか、それによって財政負担がどの程度変化するのか、ぜひ知りたいところです。都道府県や指定都市の教育委員会の皆さん、試験的にでも一度導入できないか検討してみてください。この案で時間外部活や財政負担の縮減が見込めないと判断される場合は、最低支給時間を1時間とする、30分ごとの支給額を引き下げるなどの調整も可能だと思います。ぜひ工夫して、導入していただきたいと思います。 |
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